Shiho Toyonaga

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シーズン開幕から約3ヶ月。現在の心境とこれから。

シーズン開幕から約3ヶ月。現在の心境とこれから。

春先はいつも調子が悪いので、例年並みの出だし

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豊永志帆プロは2016年シーズン、中京テレビ・ブリヂストンレディスオープン終了時点で11試合に出場して予選通過6試合。最高順位はヤマハレディースオープン葛城の17位タイで、獲得賞金は461万9000円、賞金ランキング53位となっている。

「手ごたえは今イチですね。良くなったと思ったら、ちょっと苦戦するという感じです」

豊永プロは今シーズンの戦いぶりについて、苦笑いを浮かべる。

「でも、昨年は春先に調子が良かったですが、飛ばしすぎてケガをしてしまいましたから。例年だと春先は調子が悪いので、まあ、こんなもんかなと」

開幕戦のダイキンオーキッドレディスゴルフトーナメントは無難に予選を通過したものの(42位タイ)、2戦目から3試合連続で予選落ち。5戦目のヤマハレディースオープン葛城は昨年5位タイに入った相性のいい試合で、今年も17位タイでフィニッシュした。

ただ、豊永プロの序盤戦を語る上で欠かすことができないのは、地元・熊本県で起こった地震だ。KKT杯バンテリンレディスオープン(4月15~17日、熊本県・熊本空港カントリークラブ)は実家から通える唯一の試合ということで気合が入っていたが、大会前夜の4月14日21時26分に強い揺れが襲った。

「すさまじい揺れでしたね。命の危険を感じました」

幸いにも家族全員無事だったが、食器などが全部割れてしまったという。

「でも、家の中がこんなことになっていても、試合があるんだったら試合をしなきゃいけないし、どういう気持ちで試合に臨めばいいか分からなくて、夜中の1時ぐらいに試合が中止になると聞いた時は、正直なところ『良かった』と思いました。このまま試合に行っても周りの被害状況なども分からないですし、不安なまま開催するよりは、熊本県民としては少し時間がほしかったという気持ちがありました」

その後、友人たちの無事も確認できたものの、翌朝のニュースを見て、被害の大きさに驚いたという。そして、4月16日1時25分の本震では、実家にもヒビが入るなどの被害があり、車で避難所になっている小学校へ行き、一夜を過ごした。

「2回目の地震の時は、家の前の道路がバキバキに割れてしまいました。実家も少し割れて、宙に浮いているようなところもあったので、信じられなかったですね」

翌朝、熊本空港発着の飛行機は全便欠航となっており、豊永プロは福岡空港に向かった。父親が運転する車で福岡空港まで行き、そこから飛行機に乗って羽田空港に飛んだ。

「高速道路もまだ通行できなかったので、福岡に行く途中まで下道でした。私は今、東京に住んでいますので、いったん東京の家に帰って車を取り、川奈(フジサンケイレディスクラシックの会場である静岡県・川奈ホテルゴルフコース)に向かいました。

熊本の人たちの励みになるようなプレーがしたい

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フジサンケイレディスクラシックの会場では、同じ熊本県出身の上田桃子プロと練習ラウンドをともにしたが、最初の3ホールくらいまでは頭が真っ白だったという。詳しい被害状況の話なども聞き、「本当はゴルフどころじゃないのに、自分だけ安全なところでゴルフをしていていいのか?」と自問自答した。

ただ、豊永プロの両親は「休まないで試合に出てほしい」という思いがあった。そして、実際に豊永プロが試合に出てテレビに映る姿を見て、親戚の人たちが喜んだという話を聞いて、気持ちが固まった。

「自分がゴルフを頑張ってテレビに映ることが、誰かの励みになるのであれば、試合に出続けようと思いました」

トーナメント中継でテレビに映るためには、できるだけ上位で戦うのが近道だが、そのためには何が必要だと考えているのだろうか?

「今シーズンはまだトップ10がないので、早めに上位で戦える感覚がほしいという気持ちがあります。今年はバーディがたくさん取れても、ボギーも多くて不安定な感じなので、平均ストロークをもう少し下げて、3日間を通してアンダーを出したいですね」

そのためには、ショートゲームの改善がポイントだと考えている。

「パットの距離感が合わないことが多いので、これを何とかしたいですね。今年に入ってパターを1回替えて、それでだいぶ良くなったんですけど、グリーンの速さも毎週違いますし、やっぱり難しいです。先週は速かったのに、今週は重たいということもあります。技術の問題というよりも感覚の問題なので、それに早く慣れるというか、対応できるようにしたいですね」

中京テレビ・ブリヂストンレディスオープンの2日目には、今シーズン30ラウンド目にして初の60台のスコアをマーク。ショットの調子は良さそうなだけに、ショートゲームがかみ合ってくれば、コンスタントに上位で戦えるチャンスも近づいてくるだろう。

熊本で今も大変な生活を余儀なくされている人たちを励ますためにも、ここからゴルフの調子を一気に上げていく。